高校野球もう一つの楽しみ方 2018

今年もまた甲子園球場で夏の全国選手権大会が始まります。
今年は100回の記念大会ということで出場校も過去最多の56校を数え、始球式を過去活躍した有名選手が務めるなど話題も豊富です。

初出場は6校と少なめですが色んなドラマがまた繰り返されることを考えるとファンにとっては興味が尽きないことだろうと想像します。

そんな中、超レアなファンは応援団の演奏するブラスバンドの曲目だったり、校歌の演奏などに注目するのだといいます。
かくいう私も校歌に興味があるレアなファンの一人ですが、意外と知られているようで知られていないのが校歌の演奏です。

高校野球の大会は毎年春夏の2回開かれていますが主催は春が毎日新聞、夏は朝日新聞です。春は出場校が提出する音源で校歌が流されていますので、ピアノ伴奏だけのものもあれば豪華なフルオーケストラの伴奏で歌われたものもあります。
ところが夏は朝日新聞社が独自に音源を制作しています。ですのでどの学校も男性4人のコーラスで歌われています。
過去には球場で試合終了時に生演奏で演奏していたこともあったと聞きます。
朝日新聞社がなぜそこまでお金をかけてまでしているかは今となってはわかりませんが、少なくとも50年以上は続いていると思われます。

さて、今年の出場校ですが初出場6、2回目出場7、3回以上一桁の出場は21、二桁が22校という内訳です。これをみると全出場校の3/4は結構名前の知られた野球強豪校であることがわかります。新鮮味ということでは少し物足りませんが、甲子園の音楽を楽しむという観点からは常連校の果たす役割は決して小さくありません。

応援団の定番ともいわれる演奏曲はCDにもなっているので興味ある方はそちらをご覧いただきたいと思いますが、ここでは校歌そのものの楽しみ方を紹介したいと思います。
校歌・校章はその学校のいわばシンボルともいえるべきものですが校章はともかく校歌に関して学校がお金をかけて地域に知らしめるなどそれほど力を入れているという話は聞いたことがありません。

校歌は学校のシンボルですがその地域のシンボルでもあると個人的には思っています。ですからもっともっと在校生や卒業生だけでなくその地域の人がいつでも歌える状況になるのが地域に根差した学校の在り方ではないかと常々思っていますが、音楽文化のもつ力を重要視している人が少ないせいなのかなかなかそうはならないのがはがゆいですね。

それはともかく、校歌は各学校の特色を表す重要な要素ですので当然のことながらそれぞれ特色があります。
歌詞ではその地域の自然の風景が歌詞に取り入れられることが多いです。また、士気を鼓舞するために校名を連呼したり、わが母校、眉あげて、学び舎、そびえたつ、叡智、若人、はばたく、などの言葉が多く使われています。今年の出場校に関して言えば聖光学院、二松学舎大付属、智辯和歌山、折尾愛真、などは宗教色の強い学校なのでそれが歌詞にも反映されています。
龍谷大平安も宗教系といえますがこちらは全くそれを感じさせません。

曲調ではかってはいわゆる行進曲風なものが多かったですが最近ではポップス調のものが増えてきて実に多様になっています。
ポップス調なのが岡山の創志学園、愛媛の済美、リズムがポップなのは千葉の中央学院、神奈川の慶応は格調高い荘厳な感じ、兵庫の明石商はKeyが途中で変わったり4/4拍子から2/4拍子に変わったりして面白いです。奈良大付属もkeyが途中で変わりますが長調なのに短調かと思わせるようなところもあって実に興味深いです。途中で拍子が変わるは滋賀の近江もそうですがこちらは音楽的に難しい変更の仕方をしていますが曲としては美しいです。
近大付属は音程をとるのが非常に難しく、在校生でもきちんと歌える人は少ないのではと思うほど難しいです。山形の羽黒は出だしに特徴があり、毎年のようにでてくる東海大学の付属校は今年は熊本の東海大星翔ですが、全国の付属校は歌詞はそれぞれ違いますがメロディはすべて同じなんです。これも面白いですね。

たかが校歌、されど校歌ということでそれはそれで結構楽しめます。
最近は2回の表裏に必ず一度は流れますので、暑い夏エアコンの効いた部屋で熱中症になる心配もなく、のんびりと校歌を楽しむ! これも暑い夏の過ごし方の一つになるかもしれませんね。

 

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