自称音楽家

随分と前から「あなたのお仕事は何ですか?」って訊かれて「音楽家です」
って答えると「いいですねぇ、趣味と実益を兼ねて」とよく言われます。

当の本人は「そんな甘いもんじゃない」って心の中で反論しているのだがどうも世間ではそう思われるのが普通らしい。

まぁ確かに仕事先でおいしいものをごちそうになったり、思わぬギャラをいただいてこんなにいただいてありがたいと思ったことは一度や二度ではない。
しかし逆に言えばいわゆる世間の常識とはかけ離れた実態があるといえます。
普通1日1万円もらえるような仕事はスーパーのパートではありえないし、
夜中の道路で交通整理をしてもなかなかもらえない。

1日で何万円もいただけるのは特殊な能力の代償といえなくもないが、そういう風に感じられたのはもう30年以上前の時代の感覚のような気がします。

さらにもう一昔前にはジャズドラマーのジョージ川口さんが百円札の束でもらったギャラをボストンバッグに詰めていたと話をされていましたが、それも今は昔。
ごく一部のトップアーティストを除いて今では年収200万そこそこで生活している音楽家は余るほどいます。

ベートーベンやモーツァルトの時代も貴族の庇護がなければ彼らは生活できなかったといいますから、普通の一般市民にとっては極端に言えば音楽がなくても、音楽家がいなくてもなんの不便もありませんよね。
娯楽も多様化した現代においてはそういった状況になるのも当然といえば当然なのかなと思ってしまいます。

とはいえ音楽がこの世からなくなることは考えられませんので私のような職業音楽家はこれから先も地味に生きて行くしかないのかなと思っています(笑)。

ところで奈良の近鉄西大寺駅近くに、ちょっと変った感じの味だが独特の風味が感じられるカレー屋さんがある。
10人も入れば満員になる小さなお店だが、結構人気もあるらしく、いつ行っても3~4人のお客さんはいる。
店内には常に音楽DVDが流されているが、会話の邪魔をしない程度のボリームなので心地いい。
内容もヘビメタだったり、ロック、ジャズだったりとバラエティに冨んでいる。

といいながら別にこの店の宣伝をするつもりはない。ちょっと大袈裟かもしれないが音楽を目指す者のひとつの理想形をこの店のオーナーに見たような気がしたのだ。
というのも、まだ若いこの店のオーナーは夫婦でカレー屋を経営しながら、時にはライブで演奏する。
お店の3Fがライブ会場だったり、イベント会場で他のアーティストと共演したり、果てはCDまで発表したり・・・と大忙しなのだ。

この店のオーナーがどんな意図で経営しているかは知る由もないが、お店の経営が順調なら音楽家としてこれほど理想的な生き方はないと私は思う。
私にはできそうもないのでちょっぴり羨ましいだけかもしれないが・・・
これからの音楽家の生き方としてひとつの形である事だけは間違いなさそうで
ある。

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